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kanom-35°                                                                                               ご来訪、誠にありがとうございます。
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11月始め、せっかくの4連休だったと言うのに、なんだか頼りなく過ごしてしまった2日半。
最後の1日半はゆっくり本でも読もうと、何冊かの本を抱え、でーんとリビングの真ん中に座しページをめくる。

外壁工事の刺激臭が部屋の中にまで及んできた。ちょっとヤダな。。。

連休の1週間前くらいに、レヴューを見て買い求めた何冊かの内の2冊を選んで読み始めました。

◆一冊目

41T1SRQ0LiL__SL500_AA240_.jpg真鶴 (単行本)
川上 弘美 (著)

失踪した夫を思いつつ、恋人の青茲と付き合う京は、夫、礼の日記に、「真鶴」という文字を見つける。“ついてくるもの”にひかれて「真鶴」へ向かう京。夫は「真鶴」にいるのか?


 

この物語に、「幽霊」みたいな存在が随所に現れて、主人公と会話をしています。
超常現象満載なのだけど引き込まれてしまったのは、私が大の川上弘美ファンってことに起因してるけれども、それ以上に、読み進むうちにこの現象は超常現象でもナンでもなく、リアルな人間の日常だと感じたから。

呆っと何かを考えてしまう時があるけれど、その時何を見ているのだろう?誰と対話をしているのだろう?
その時に必要な、過去や未来を喚起させているので、目の前のテレビの映像など、視界に入っているはずなのに脳には映さない。
思考の中で誰かを登場させ、その人物に話しかけてしまう行為は私だけではないはず。
一体誰に話しかけているのか・・・。

おそらく事の善し悪しを提言してくれそうな者であり、己に都合の良い会話をしてくれる者であり、己が知りたくとも知り得ぬ情報を提供してくれる者。

それがこの物語の中の「ついてくるもの」だ。

呆けていながらも、案外自分に都合の良いように考えている。
そして、現状を留めるために問い、或いは現状を打破するために問い。。。

己が語り、紡ぎ出す「ついてくるもの」は、一体何者だろう?
ま、己の思考の範疇の「漠とした何か」なのだろうけど。

真鶴は叙述的な作品だった。
概ね簡単な文で占められているので、単調で退屈と思われるかもしれない。
現に、主人公は平凡な主婦だし。

それでも、この一見叙述的なだけの物語に、深い奥行きを感じてしまうのは、さまざまなオブジェの配置の仕方なのだと思う。

夕飯の献立や、庭の紫陽花や、池でとってきた蛙のタマゴや、衣替えのための衣服の入れ替えの際のナフタリンの匂い。。。
そんなオブジェが登場した後の、主人公がぼんやりと思ったこと、家族がぽつりと言った一言が、なんとも言えない世界を拡大させる。
物語には関係なさそうな文言が、登場人物達関係の遠近をひっそりと告げている。
そのオブジェを探すのが好き。

主人公が、失踪した夫の名前を口に出して言う箇所が随所に出てきて、その度に「ついてくるもの」が登場する。
きっと呆けて名前を呼んだのだろう。
そして「ついてくるもの」に、何をかを問うているのだろう。
その辺りに、断ち切れ無い強い「愛憎」を感じてしまう。

かく言う私にも、数年前に別れた(失踪した)♂にもかかわらず、たまさかに口に出してしまう名前があり(笑)。

それだけに、シュールな作品が超リアルに感じられた。

「ついてくるもの」が幽霊なのだとすると、幽霊が自己観測上でしか捉えられない存在である限り、ソレは自分自身の結晶のようなもの。
そう会得したとたん、善悪・正負・希絶、すべてを孕む「ついてくるもの」と旅に出たくなる。

解説の中に、こんなことが書いてあった。

現代文学における幽霊の重要性を理解するための小さな見取り図―
ものすごく簡単に言ってしまえば、文学は幽霊のことを扱うはずのものだったんじゃないか、と呟いたのが村上春樹。
そんなのあたりまえじゃん、と応じたのが川上弘美。
これが現代文学の転機と洗練の内実だ。


川上弘美さん、、、流石である。大好きである。


◆二冊目
51TohTdKfrL__SL500_AA240_.jpg魚神 (単行本)
千早 茜 (著)

かつて一大遊郭が栄えた、閉ざされた島。夢喰いの獏、雷魚などの伝説が残る島で、本土を追われた人々は自治組織を作り、独自の文化を営んでいる。捨て子の白亜とスケキヨは、この島で捨て子の姉弟として育った。





今年の初め、第21回小説すばる新人賞を1受賞し、2009年10月には泉鏡花文学賞を受賞した作品。
選考委員からは、「もの凄い新人が出現した!」っと大絶賛だったようです。

が・・・。

舞台設定が非常に面白くて一気に読んでしまいましたが、先に川上さんの「真鶴」を読んでしまったためか、それほど「もの凄い」感じは受けませんでした。

村上春樹の「1Q84」を平たくしたら、こんな感じになるのかな、、、なんて思いました。
思春期の強い思慕、意志、そこんとこの描写は、何だか同じテーマを訴えているような気がします。

この作品もまた、幻想的な作品でして。

スケキヨが青豆で、白亜が天吾で、、、いや、まてよ、やっぱり逆かなぁ、、、などと要らぬ想像を膨らませました。

時代背景も場所も不詳で、幻想的な匂いばかりが漂う舞台。
勝手な思い込みかもしれないけれど、退化していった日本の未来のような感覚がしました。

島民は皆貧しく、海は腐臭に満ち何処へも逃げる場所など無い。
この島に生まれると、女は遊郭へ、男は妓夫か町の自治組織に入ることが決まっている。
決して抗えない運命を受け入れざるを得ない者達は、当然に荒み、夢も希望も無い。

そんな環境の中で生きねばならない者にとって、何が「原動」となるのか、、、。
貧しくて狭い世界では、結局そうなるのかな、っとたっぷり考えさせられました。

殺伐とした現代において、象徴的な一冊。

「原動」を持たぬ者は荒れて不義なる者となり、簡単に人を傷つけ殺めるのは頷けないでもないけれど、傷つき殺められるのは、不義なる者ばかりではない不条理。
「原動」を持ってはいても、一縷の望みさえなかなか手に入らないばかりか、手に入るとは約束されていない。

折れちゃうよね、、、折れちゃうよね、、、。


If we hold on together


でも、誰一人たりとも、折れることがありませんよう。。。


★お知らせ★
わたくし事ですが、只今自宅マンションが外壁塗装工事を行っており、強烈な刺激臭にやられて体調不良です。
最近は実家から通勤したりしていますので、ブログ更新とコメントが遅れると思いますが、来週には終わりますので、長い目で見守ってくださいませ。
よろしくお願いします。
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